ミステリイーター!

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リア王 プロローグ


そう、それは暗くて昏(くら)くて冥(くら)い世界。
この世の混沌。
『あれ』は存在するだけで周囲に『毒』を振りまく。
いや、それは毒などという生ぬるいものでは決してなく。
ただの、害悪。
人々はそれを忌み嫌い。
激しく憎み。
この世から消えて欲しいと天に願った。
筆舌に尽くしがたい苦しみを受けた人々が、『それ』に付けた呼び名は。
―――。



「はっ、はっ、はっ……!」
俺は、逃げていた。
自身の恋人である、大切な人と共に。
「ここまでくれば……! ……大丈夫かな……?」
「……ああ、もう『奴』は、追ってこない、みたい、だしなっ……」
傍らの塀に手を突き。息を整える。
日曜日の今日。
彼女と一緒に待ち合わせし。
映画を見て彼女と涙し。
買い物に行き彼女の好みの服を買ってやり。
辺りがすっかり暗くなってしまい、彼女を家まで送り届けようとしたその矢先。
「くそっ……なんでだよ……!」
思わず近くの電柱に拳を打ちつける。
ただの閑静(かんせい)な住宅街。
そのはずだった。数分前までは。
そこに『あんなもの』が現れるなんて……。
「ゴメン……。私が買い物に付き合わせちゃったから……太一までこんなコトに巻き込んじゃって……」
「気にすんなよ、何があっても……俺がお前を守ってやるから……!」
例え空元気であっても、大切な人にはそう言わずにはいられなかった。
そう、絶対に逃げ出すわけにはいかない。
心細そうに、自分を見つめている彼女を守るためには。
「絶対に2人で助かるんだ……!」
声に出し、自分の決意を再確認する。
そうでもしないと、自分の心が揺らいでしまいそうだったから。
ふと。
目の前の恋人の口がヒッ、とでも言うかのように形作られる。
「おい、どうし――」
その意味を問おうとする前に、彼女がある言葉を発した。
「来たッ……!」
「……っ」
傍らに寄り添う大切な人を守ろう。そう思っても、足が震えてうまく動けない。
奥の路地から、ゆらりと現れた『それ』は。
……魂を狩りに来た死神。
陳腐な表現だとは思いつつも、それ以上に相手を指し示すべき言葉が見当たらない異形。
いや……異形などではない。
「……ッ」
あれは……人間だ。
しかも。
「……女……?」
相手は鎌を構え、黒いローブを羽織っていた。
怪訝(けげん)に思って見つめていると、唐突に『死神』は鎌を振り上げ、こちらに襲いかかる。
「……こっちだ!」
瞬間的な判断で恋人の手を引き、近くの公園へと逃げ込む。
が。
「……」
『死神』が鎌を振るう。
衝撃が襲いかかり、気づくと、相手から離れているはずの自身の身体はアスファルトの上に転がっていた。
頭を起こすと、傍らには……恋人も同じ様に横たわっている。
「くそっ……」
自身の数メートル後ろから、コツ、コツと足音が聞こえてきていた。
そう、それは紛れもなく『死神』の足音。
身体がもう、動かない。
「ここまで、か……」
気力を振り絞り、彼女に這い寄った。
「太一……」
「暁美……」
彼女の名前を呼び、精一杯その手を繋ぐ。
だがもうそれは、叶わない夢。
「生まれ変わったら……また2人で……一緒に……!」
それを聞いてかどうか、『死神』は口角をつり上げて。
にぃ、と嗤(わら)った。
そして鎌が振り上げられると同時に、薄れゆく意識の中で聞こえた言葉は。




「リア充爆発しろ」



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  1. 2012/06/20(水) 20:00:07|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

GREAT!!

中途半端になることなく、細かに描き、一度ならず
二度も三度も読み返したくなる、そんな小説ですね。
病気的な面白さです!
わたしもこんな小説書けたらなぁ…と思う日々です。
ろり展開とかも…期待して…いいかな…?(笑)
たのしみに待ってます!今後の展開を!!
  1. 2012/06/21(木) 01:21:07 |
  2. URL |
  3. とうずあゆか #-
  4. [ 編集 ]

Re: GREAT!!

中々このサイトを見つけていただける人が少ない中、とうずさんのコメントが一番嬉しいですね
二回も褒めていただいてありがたいです
病気っぽかった最近の私も、これで元気になりそうな感じがします(多少風邪引いてました……)
言っていただいた事を胸に刻んで、これからも頑張っていきたいと思います
うちの知り合いの言葉なのですが、小説が上達するコツは下手でもとにかく書いてみること、です
なんとかいいものを作ろうとしているうちに、いつか大作が書けると思いますよ!!
  1. 2012/06/25(月) 15:21:49 |
  2. URL |
  3. 紅野木屋右京 #-
  4. [ 編集 ]

お返事ありがとうございます!

いえいえまだわたしでは大作なんてとてもではありませんが書けませんよ///
やっぱりどうしても右京さんの小説を見てしまうと
絶対こんなの書けないなぁ…と。
対して右京さんはスラスラと書けてるようで羨ましい限りです!私が書くと話の
中核がどうもグダグダになってしまって…(苦笑)
二次元でキャラをきちんと自由に動かせる…もぅわたしには眩しすぎな存在です!

  1. 2012/06/25(月) 15:42:35 |
  2. URL |
  3. とうずあゆか #-
  4. [ 編集 ]

上www

お前らwwwww
裏でケンカすんなwwwwwwwww
  1. 2012/06/26(火) 11:03:30 |
  2. URL |
  3. 先輩(仮) #-
  4. [ 編集 ]

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